社員研修

人材育成の一つの手段である社員研修。

社員研修を実施したから人材がすぐに育つというものではなく、
現場OJTや自己啓発など他の育成手段と効果的に組み合わせていくことが重要です。

しかし、社員研修の効果を徹底して追求する姿勢が、研修企画・実施者の方々には必要です。実施するからには、参加者により多くの「気づき」と「学び」を得ていただける機会にしなくてはなりません。
 

そこで参考になるのが、
「コルブの経験学習モデル」です。

社会人の能力開発は、
その多くが日常の仕事の経験から生まれるため、コルブは経験からの学びを知識付与型の学習と区別して「経験→省察→概念化→実践」のサイクルを回すことによって学ぶことができるとしました。

ここに、社員研修のあり方の示唆があります。
すなわち、研修を経験学習の場に近付けることによって、能力開発へとつなげるということです。

そのためには、まず研修の目的(人材育成の目的)を明らかにし、
目的達成のために参加者が主体的に取り組める課題を設定します。

そして、参加者同士の意見交流を中心に課題解決に取り組むことによって、
気づきと学びを得ていただきます。

最後には、参加者各人に今後の行動計画を立てていただきます。
参加者同士の意見交流は、時として研修の目的とは違った方向に進む場合がありますから、
講師には、ファシリテーター兼アドバイザー、
場合によってはコンサルタントとしての役割が求められます。

ここで研修テーマによっては、
参加者に事前に関連する知識を付与することが必要な場合があります。
その場合は、研修の中で講師から付与するのか、研修実施前の事前学習で付与するのか、
研修運営上の選択が必要です。

ただし、参加者が一堂に会する貴重な研修の時間を有効に活用する ためには、
事前学習が望ましいと言えます。


こうして企画・実施された社員研修も、
参加者が研修で得られたことを実践の場で活かしてこそ、
その効果があったことになるわけですが、
そのためには、研修の企画段階で以下の点を明確にしておくことが大切です。

①研修の目的(人材育成の目的)は、結果的に参加者の思考・行動を変えることですが、
 そのために必要なのは意識変革なのか、知識・スキル習得なのか?

②意識変革、知識・スキル習得のどちらであっても、その結果、
 参加者が実際に思考・行動を変える ことができる環境にあるのか?
 すなわち、参加者の思考・行動の変化を職場の周囲の者(特に 上司)が
 受け入れる環境があるのか?


弊社がこれまでに実施をしてきた研修の中で、
上記①または②があいまいなままに実施をされた研修では、
参加者が研修で得たことを発揮できず、悩むケースがありました。

研修企画・実施者の方には、認識をしておいていただきたいと思います。