コラム

管理職研修に求められる「判断力向上」                                    

2016年1月28日

管理職研修では、マネジメントの原理原則やリーダーシップの発揮、
部下指導育成方法等が盛り込まれることが一般的です。
もちろんこれらは重要なことですが、「不確実性」「不透明性」「変化スピードが速い」
この現代にあって、顧客の要望は「個別化」「高度化」「複雑化」「スピード化」しており、管理職に求められる最も重要な能力が「的確な判断力」になっていると考えられます。

前例や経験で的確に物事を判断できた時代は、
経験知の多い管理職が判断力のある管理職でいられました。
しかし、現代は、正しい事実認識とぶれない判断の基軸を持ち、
部下に的確な質問をして現場に潜む問題を聞き出し、
論理的に問題解決のできる管理職こそが判断力のある管理職となる時代です。

したがって、弊社がご依頼をいただく管理職研修では、
「判断力向上」のためのセッションにかなりの時間を費やします。
本来であれば、「的確な判断力」を持った人材を管理職に昇進させていると
考えたいところですが、なかなかそうではないのが現状のようです。

例えば、ある会社では、「判断をしない管理職」によって、
業務の遅延や停滞に陥っている実態が浮き彫りになりました。
また、「間違った判断をする管理職」によって、損失の拡大に陥ったケースもありました。
さらには、「なんでも上司にお伺いを立てる管理職」によって、
業務遂行に通常の何倍もの時間がかかっていました。
いずれの場合も、的確な判断ができないことに起因するわけですから、
管理職の判断力向上については、研修などで取り組むことが必要です。


では、どんな研修をすると、管理職の判断力を向上させることができるのでしょうか。
弊社の研修では、個人演習と全体討議を組み合わせた方式を取り入れています。
まず、判断を要する題材を複数記載したシートを参加者に配布し、制限時間を決めて、
各題材についてのご自分の判断を記述していただきます。

次に、題材一つひとつごとに、各人の判断を順番に全員に発表していただきます。
そうすると、どんな判断をどれだけの人がしたのかがわかります。
複数の判断が出た場合は、それぞれの判断について、その理由を話していただきます。
時には考え方の違いがあって、議論になる場合もあります。
そうすることによって、判断の背景にある「判断の軸」や論理的な考え方を
全員で共有することができるのです。
参加者の人数によっては時間がかかる方式ですが、参加者の納得度は高く、
気づきと学びを得ていただいているようです。

大切なことは、研修によって、的確な「判断の軸」を持っていただくことです。


株式会社アイアンドオン 代表取締役 伊藤宏之

 

 

 

能力開発の本質

2015年10月8日

社員の能力開発への取り組みは、社員と企業の成長に不可欠なことです。

OJTや自己啓発に頼るだけの企業もありますが、
多くの企業では何らかのかたちで社員研修を実施しています。
この社員研修の目的は企業の経営課題によって様々ですが、
「ねらい」は社員の意識変革→態度変容→行動変容を促すか、
または社員の知識・スキル習得によって思考・行動変容を促すかに大別されます。

前者をねらいとする場合はグループ討議やロールプレイング主体の研修が多く、
後者の場合は講義や個人ワークが多くなります。

ねらいに合わせた研修スタイルがとられているわけですが、
能力開発の本質から、このことをもう少し掘り下げてみたいと思います。


意識変革→態度変容→行動変容を促す場合、大切なのは参加者自身の「気づき」です。

この「気づき」はどのように得られるかと言うと、研修中に受けた情報について
①本人の経験、知識との対比
②他者の話との対比
のどちらかまたは両方をすることによって得られます。

①については「振り返り」または「内省」によって、
②については、他の参加者または講師との会話によってなされます。

ただ、研修では、①の場合でもグループ交流の機会があって
他者と話をする機会がある(つくる)と言うことです。


つまり、重要なことは、「気づき」は、
他者からの影響を受けて生まれるように研修では仕組まれているのです。
なぜかと言うと、振り返りや内省だけでは「正しい気づき」ができない場合があるからです。

意識変革→態度変容→行動変容を促す場合、
自己流の間違いを正すのが研修における能力開発の本質と言えます。

知識・スキル習得によって思考・行動変容を促す場合、
大切なのは身に付いた知識・スキルを実践の場で活かすことができるかどうかです。
実践の場で活かすには、得られた知識・スキルと実践での業務を紐づけることが必要です。

したがって、講師には、そこまで参加者の業務に精通していることが求められます。
場合によっては、参加者同士で紐づけ方についての話し合いの場を設けてもいいでしょう。

知識・スキル習得によって思考・行動変容を促す場合、
業務の品質・生産性向上に結びつく知識・スキルを習得することが
研修における能力開発の本質と言えます。

社員研修を企画・実施される方々に、
社員の能力開発に直結する成果を生んでいただくためのヒントになれば幸いです。


株式会社アイアンドオン 代表取締役 伊藤宏之